ドイツの法律では、法律によって書面形式を要求される書類は、発行者自身が手書きによるか、または、公証人によって認証された印(Sign)によって署名されなければならない。ファクシミル署名は、例えば、記名株券(share certificates)では容認されるが、債券(bond and debenture)については、「機械的複写」(mechanical reproduction)による署名は認められるが、「通常の印刷によって作成された」署名は容認されないであろうと、文献に述べられている。
流通性書類の欠くことのできない特質として、1つあるいは複数の権利を化体しているということが挙げられる。流通性書類は複数の権利の象徴であると同時に、権利を取引する手段でもある。このような権利が、何か別の契約から発生することがある。例えば、1枚の小切手が売買契約で発生した債務の支払いのために発行され、権利が流通性書類の形式で表現されると、この権利は元の契約から分離されたものとなる。このように、小切手の振出人は、小切手の有効性について争う場合に、原因契約の履行に関わる瑕疵を取りあげることはできない。この例外として、英国法における「約因の基本的滅失」(fundamental failure of consideration)が挙げられる。